2000年5月27日第一回植田実さんと建築あそび記録 HOME 

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 08 山本理顕 09 青木淳    

・・青木淳の設計・・

 もう一つはね青木淳。今日佐藤さんと「青木さん元気だね最近は」なんて 話してきた。これは磯崎さんの所にいた、1956年生まれだったかな。

不思議な敷地の所に乗っかってるんです。これ鮭の切り身ってみんな呼んでるんですけどね。塩鮭の切り身をバント乗っけたような、ただ道路側には門柱がポッンと立っているだけなんです。

あとは荒涼とした砂漠と言うか山を延々と歩いて、これで全部おしまいという仕上げらしいですけど、「サボテンは植えようかな」と、青木さん言ってましたけども。このデザインなんじゃろかー見たいな感じありますね。これはね翻訳家のご主人と手作りのアートみたいなことやってる二人暮らしです。お子さんはいらっしゃいません。

 こういうプランです。細長いくてね。全体に線で、細長い部屋ばっかりで出来てる。

これは奥さんの部屋、ここはご主人の部屋なんです。

この間にブリッジが有ってここは吹き抜けになっている。

さっきの小暮さんというカメラマンの家と、奥さんの所に台所は有る。 食事はて言うと、ここでは出来ないんですよ、食事するところがない。

これが玄関ホールなんですけども、玄関ホールに大きなテーブルを置いて食事をしてるらしいお客さんが入ると目の前でご飯食べてる、(笑い)なんかーいいですよね。ベッドは別々なんです。奥さんも一人で寝てらっして、トイレも専用のトイレを使っている。 ご主人はここで一日仕事をされてる。下にはサウナ。サウナというかサンルーム、この辺ですね。逆にバスタオルかなんかで気楽な感じで、ふたりで「水割りでも呑もう」なんて感じ。

これは奥さんの部屋、大きなベッドが有る。これご主人のスペース。翻訳やってますからこういう落ち着ける空間が。僕が好きなのはここにグレイチング使っているんですね。下の気配が微妙に感じられるというこれ吹き抜けだったら嫌らしいですよねー。「おーい、おまえ元気か」呼び合ったりして嫌らしい。(笑い)

一寸微妙に切ってる。やっぱり中年ですし、このくらいが仲のいいご夫婦。しかもお互いに自分の仕事に専念したい、二人の住まいとしては、これ一つの考え方かなと思います。


これはもう一つ極端なんなやつなんだけど、これは鈴広という小田原の蒲鉾屋さんがありますよね。日本中にチェーン。

これははっきりしてますね。個室、共有室。見たら誰にでも解る。建築って面白いなと思うのは。2階を無くしちゃってる。1階と3階だけしかないという、そういう形で切り離した。




 これは3番目に作った住宅。これ成城学園に作った。割合に解り易い。

個室が上にバーッとある。個室は割合に個室らしい個室。個室というのはなんか不思議に白く綺麗に仕上げる。あるいはも一寸古い世代では全部シナベニヤ、ザーッとやると個室になるんです。

これの面白いのはね。手摺りのね、ふざけたお遊びやってますね。プラスチックで。

 個室をこう作っておいて、これがリビングなんですが、リビングは全く気持ちの上で繋がらないように、全然違うところにでてくるように、こういった石で仕上げてある。

こんな非日常的、ショーウィンドーみたいな飾り棚つくったり、やってるわけです。しかも無造作にバーッと円弧をつくって切り取っていいんだろうか、みたいなところがあんだけど。逆に生かしてるわけね、無造作をね建物が軽く見えるんですね。で、それをこういったプラスチックのお遊び植木をまぜて、建物の植木の中に混ぜて、それでますます、ある宙ぶらりんな、感じを演出してるわけです。
 
和室なんかもね、なんとなくカウンターがずるずる繋がっていて、いつの間にか廊下歩いていると和室。この人のは見切りが全然ないんですね。ここはここで一担切るという。ズルズルと違う素材、違う部屋に入ってきてしまうのが、特徴です。

 
これ学会賞取られた、展望台ですね。ソフトクリームって、佐藤さんおっしゃる、僕もまさに絶対ソフトクリーム

ぼくはこの形のソフトクリームをここの食堂で売ったら絶対流行る、(笑う)前のヤツがミルフィーュみたいな お菓子みたいなもんです。その前は蒲鉾屋だし。本人は太ってるしね。(笑う)面白いっていう。はい



住宅以外の建物だと、これはとても面白い、ここに、いまの展望台の横にプールがあるんだけど、ここにプールがある、この上にブリッジがズーッとプールの真上を、ここから覗くと、ここに覗き穴があってプールで泳いでいる人が見えるんです。穴からね。ここは一般の人が入れる。

佐藤さんが行かたようですけど、ここに一日おばあちゃんが座って、下で若い人達が遊んでいるのを見ながら、遊んでるって言ってました。いかにも突然仕切って作られるよりも交差しちゃって、連続しちゃって、そいでそこにある不思議な新鮮な感じを、なーんか巧く演出してしまうのが、この青木さんと言う建築家です。
 

これー形はいろいろあるがほとんど意味は無いと思っていい。とにかく、いかに材料が次々現れて、どこでどう暮らして良いかわかんない。

まーそれは住む人が巧くやっていけばいい。

ここなんかもねー、波形のあれを何んにもなくていきなり壁がくっついちゃうんです。鏝仕上げ、そういう作り方ここでやっている。それにもうグレイチングがまたベタでくついている。道路にむき出しになっている。これトップライトなんです、下の地下室の。 本来ここでなんか仕切るべきですよね、当然こういう違う材料を使うとき、ところがふわぁーっと、こう。
 

逆にね、洗面ユニット、ずるずるしてるかと思うと、洗面器は一人一個ずつ。(笑う)大サービスでやったりして、その辺常に意表をつくようなかたちで、住宅をぜーんぶ作り直していって、そこでどんなことが起こるかということを考えている。

おそらくそれはね、この人は、住宅場所の居心地って何なんだろうと、それを、すごく考え込んでいる人なんですね。

それはさっきの山本理顕みたいに全部図式化して、その論理的な図式を全部建築にスポンと投影すると 全く対照的にあるんではないかと、なんか素材のある種の一体感ででもって、そこで何が起きるかということを、こちらも逆に考えよとしている人ですね。
 
これはね、新しい住宅、、青木さんの一番新しい住宅。これ下からちょうど、

これ階段なんです。階段の上が吹き抜けてまして、上がって来ると、ここに巨大な箱がぶら下がっている。何かというと、個室なんです。個室が床から離れて宙に、言ってみれば御仏壇だったら、こういう作り方をするけど、巨大な仏壇、(笑う)白い仏壇がボーンと、こぅー。これがドアなんですね。あとはなんかわかんないんですが、 開けると、不思議な事に布団だけしか置けないぐらいの狭さ。だからぴょんと下りて来て、ここで勉強するんですね。下から見上げるとここに個室が見える。このカーテンは、このカーテンの裏っ側は収納になっているんですが、カーテンは、巨大カーテンの金具が。だからミニチュアの世界に突然入ったような感じですね。

前に東京都の現代美術館で人体と衣服という展覧会があつた。

フランスの人ですか、要するに人形の服がありますよね。

このぐらいの人形が着ている服のプロポーションを、人間大にして、そのあらゆる全部プロポーションを変えないで、人間大にした実験的な衣服を作っている。

そうするとボタンがこーんなでっかいんですね、 人形でみると自然だけど、それがとっても不思議な感じがするんですけども、おそらくこれそう言う効果、それでなんか自分が小さな世界に入っちゃう、逆にガリバー的になっちゃう、こういう仕掛け。

カーテンて、とても処理がしにくいものの一つだと思いますけども、そういうスケールをシフトするかたちで、なんか面白いスペースにしちゃってる


 入るとこれが見えちゃう、これは案外平気なんでしょうね、中はシナベニヤで出来た個室ではあります。狭いですけどね、これは普通のリアルな建築。

コンクリート打ち放し。仮枠は一寸変わったもの使ってます。ただここのブロックと石塀ほんとに、どこにでもある普通のありふれたものですよね。その中にいきなりガレージを切り込んで、ここが入り口になってます。

ここに変な光が入り込んでます。写真でもそんな感じ、現実に見てても、ここはリアルなんだけど、ここはバーチャルなねー、映像を見てるような感じがするんですね。

見てなんかチラチラ出てくるような感じなんです。青木さんが考えていることは、色んなこと素材を変えたり、照明の感じをいろいろ変えながら、ね、建築はどうしたってリアルなものから抜け出せないわけだからリアルなものに幻想的な形を与えるというよりはむしろ、普通にするんだけど、何かこう、現実ならざるものをどう挿入して、全体として、それがでもやっぱり一つの家なんだと。

それはどういうふうに過ごすかということがきっとこれから住む人が、いろいろ考える、チャレンジすると思いますけど、そういう試みをやっているひとなんですね。
 

これの裏っ側ね、簡単にいえばお風呂なんですね。お風呂があって、ここに半透明にプラスチックのガラス二枚、その間に特殊蛍光灯をランプを取り入れてる、わけです。

コチラが照明。向こう側から見るとこのタイルがここにあらわれる。ここに立ち上がると裸のひとが見えるかというとそうではない。

非常に厚いからね。それは無いんですけどもプラン的にはそういう処理をしているわけです。

 これでおしまいだと思いますけど、こうやってみると普通の家

これは大学卒業してね、たしか2年ぐらいの人が担当してる。彼女は、監理はほとんど一人でやっているみたいですね、自分のまずアイデアで。

青木さんの所は 強烈なことをやるようだけど、彼の必ずしも、青木さんが全部決めてそれをスタッフにやらせるんじゃなくて、話を彼はいろいろしてね、若いスタッフがそれに触発され、案を出したものを今度は青木さんの責任でアドバイスしてまとめ上げる

いうかたち 彼女もなかなか巧い良い感覚してると思うんだけど、若くてこれ一軒丸ごと監理やってるわけで 大したもんだなと思います

でもそういうかたちで若い人が、これ若い人じゃないと、こういう感覚なかなか出てこないと思うんだけど。

青木さんは1956年生まれ、もういい年してるんですね。だから僕らも若い若いと思っていたんだけど、そういう意味では二十歳の、受け入れるような一つの設計事務所の、いま青木さん達の世代はいろいろと試みてるようです。

青木さんの場合はある意味で山本さんとどこかで繋がっているかも知らないけど、こういう非常に感性的なもの、身体的なものに直接訴えてくるようなものをどうやってこー、選んで、そこに若い人の感性を借りながら作ろうとしている

で山本さんのほうは徹底いしてやらしてそれを大きな構築物にする。いまいろんな傾向がね、日本の建築界にあると思うんですけど、取りあえずたまたまスライドが揃え易かったことなんだけど、最初5,6人は個室という、私的領域てものが住宅のなかで大きく変わっていく例を5,6軒出しまして、その後山本理顕と青木淳という二人の建築家に今日本の建築界のある考え、動向を代表させてみた次第です。
と言うことで一寸長かったですね。(万雷の拍手)

植田實さんの略歴

1935年生まれ        早稲田大学文学部卒業  雑誌「建築」「都市住宅」「GA HOUSES」等の編集を経て現在フリー。住まいの図書館出版局編集長として単行本の企画編集を主な仕事としている。























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