ヤノベケンジ入門 文字お越し集   2018年 作成 
 2003年 動画) 誇大妄想の都へ 文字お起し03

ナレーション:万博跡地にある国立国際美術館も来年大阪市内に移転した後取り壊されます。今回の展覧会を企画した学芸員の平芳さんはこれまで何度もヤノベさんと打ち合わせを重ねてきました。

学芸員:こちらが予想するよりも、スケールが常に大きいという、ところが非常に面白いですね。例えば今度の新作にしてもそうなんですけど、過去の作品も全て基本的にはオーバサイズな部分というか。妄想の膨らみ具合に応じて作品が巨大になって出て来る。


ヤノベ:オヤジ来てるね
学芸員:こんにちは
オヤジ:いらっしゃい。かぶらさんとどうしようもないな。これ重たいんや。疲れて、夏の暑いとき、えー。
ヤノベ:おー迫力あんなー。これでB1になったらけっこうでかいな〜。これでもよかったな。
オヤジ:おっさんが来たらいいねーん。口の悪いトらやんやなー
トらやん:顔の悪いおっさんやな
オヤジ:顔の悪いおっさんもうえ加減にせーや。

ヤノベ:ちょっと明るめになっているということ。国際のホームページにもこれアップされるんやな。

オヤジ:これ取れてもうた
 ははあははは
オヤジ:重たいんやなんせな。
ヤノベ:被っている方がかっこいいぜ
オヤジ:かっこはいいけど、腹話術としてやろう思うたらな、大変や。
トらやん: 
オヤジ:そうですかなー、何年ぶりかなー。33年ぶりやな、これ被せとったらうまいこといけへん
 ははははは
ヤノベ:ズレてきてんで

オヤジ:なに。 はははは
オヤジ: 腹話術にならへのやな、これでな。いつも難波のトらやんで上手いやってんのになー。アトムの頭かぶしただけでな、もう。これがうごかへんからな、よっぽど考えなきゃ、頭の体操いこうか。
トらやん:そやな。ヤノベケンジとかけて、壊れた水道の蛇口と解く、そこ心は水も滴るいい男〜。えらいおべんちゃら言うなー。
トらやんおっさんの名前は何て言うねん
オヤジ:まさのぶビッチーヤノベスキーや。それは何やロシアネームか。森へ行きましょう ロシア語で歌う


オヤジ:ケンジがプロに成る時、モー大変やったんですよね。
ヤノベ:え。プロに成る時って何それ
オヤジ:アーチストとして、一本立ちするという時や。な。言うたやろ親が、人間なー霞み食うて生きてられるわけないやんか、なシッカリ頑張ってくれー。ケンジが一生懸命作品作りするからやな。この後ろ姿見て、それやったらも〜、やってもしゃーないというふうに。親が生きて来た道とな価値観が違うからな。

ヤノベ:なにゃ説教めいた話やな
オヤジ:ちょっとあの、なんとも言えん、本人は本人の生き方やから、説教してるのとちゃうや。大変な事やと思ったんや。アーチストとして観た場合ね。こらもー世界に羽ばたいとる男やと。見れば、ちょっと見方が変わるときあるからな。普通、アーチスト外した場合はあくまで親子だから、うん。まぁ家で飯食われんかったら家に来て食えよと、まあこういう形でね。言っとるわけやけど。
ヤノベ:こんなふうに毎日過ぎていくから、なかなか制作に集中できない。ははははあは








ナレーション:ヤノベさんは去年デザイナーの三宅一生さんの新しい店のために、作品を制作しました。

ヤノベ:こんにちは、
ナレーション:クイーンマンマと名付けられたこの作品。丸みのある胴体の中が一生さんの服を試着するスペースになっています。

ヤノベ:これ無くなってしまったらどうしましょうかね。

ナレーション:店側の協力で、クイーンマンマは8月の大阪での展覧会に出品されることになりました。

ヤノベ:イッセイミヤケらしくない、もっともらしくない店にしてしまおうと。店を乗っ取ってやろうという気概で。取り組んだと。三宅さん自身が全身でぶつかって行っても、受け止めてくれるというのが分かったので。ここのスタッフの方凄く、優秀っていうと変な言い方なんですけど、クイーンマンマに対して凄い丁寧に敬意を払ってもらって、付き合ってもらっているんで。このスタッフも作品の一つのような機能を持っているんで。ぜひそれが、美術館の中で実現できれば。






ナレーション:三宅一生さんの店から、歩いてすぐのところに、岡本太郎記念館があります。
やのべ:これ凄いなー。
敏子:お顔見えないとおもっていた、いついらしたの
ヤノベ:先ほど
敏子:そうですか。言わなきゃだめなの。無言実行はだめ、有言実行。もう旗あげちゃうの。
ヤノベ:あのとき敏子さんにたまたま呼ばれて、思いついたタイトルをそのまま実現していくという形で。

ヤノベ:今回は万博と対峙するという形で、太郎さんの造った太陽の塔と一緒になって、大がかりな展覧会が出来ればっていう、あの時の誇大妄想的な夢が、ちょっとでもね、現実化していく感じがして。
敏子:まだこれからこれから、色んなことやろうとしてね、太陽の塔を乗っ取る計画。やんなさいやんなさい。面白がってけしかけているのよ。

太陽の塔へ登る

ヤノベ:未知の領域に踏み込みたい、っていう意識。その時に、人間がどう変わっていくか、何かこう違う場所とか、違う次元のところに、自分が移動したりする、なんか意識が飛んで行ったりする、のを試してみたい。

いい天気に成って来た?

つないでおくわ。そやなー、フック命綱掛けるところ、一か所しかないんで。今ら掛ける、ここやん。分かった。

凄い風やねん。手離したら飛ばされそ。でもなー前に座ることは絶対無理や。飛ばされる。ちょっと格好悪い?これは。これはどう。じゃ〜これ頼むわ〜。うん。いやー凄いは〜。さすが太陽の塔。ええ眺めやー。よう見えるわー。アー烏が、凄い。よう飛んでる〜。よう見えるわー。ええ感じ〜。めっちゃ風や。


 その04へ つづく