sunchild 入門  首長発言 記録 2018年 作成 佐藤敏宏
福島市HPURLよりコピー

平成30年8月28日発表分

サン・チャイルドは、原子力災害の記憶を継承しつつ、「原子力災害からの安全と克服」、「未来への希望」を表現し、私たちを励ますとともに、対外的には福島が挫けずに復興に立ち向かう姿をアピールするもの、いわば「復興の象徴」ともなりうるものと期待して、一般財団法人ふくしま未来研究会より寄贈を受け、8月3日、できるだけ多くのかたがたに、特に子どもたちに見ていただこうとの思いから、こむこむ館前に設置しました。
 その後、この設置をめぐる問題をご指摘いただいたことから、アンケート等で市民の意見の把握に努めるとともに、市外からのご意見にも真摯に受け止めさせていただきました。ご意見をお寄せいただいた皆様には感謝を申し上げます。
 その結果、災害の教訓の継承、勇気や元気を与えるなどの観点から設置の継続を求める声がある一方で、風評への懸念、作品への違和感、設置する場所の問題など設置に反対する声も多く、このように賛否が分かれる作品を「復興の象徴」として、このまま市民の皆様の前に設置し続けることは困難と判断しました。
 今後、できるだけ早く展示を取りやめたうえで、その取扱いを検討してまいります。
 このたびの設置によって、心を痛めたり不快な思いをされたかたがたには、心からお詫び申し上げます。
 一方、サン・チャイルドに期待をかけていただいたかたがたにも、特に199人の小学生の皆さんから愛称の応募をいただきましたので、誠に申し訳なく思います。
 また、設置にあたり、合意形成のプロセスを欠いたことは、反省しているところであり、今後、合意形成には十分留意しながら、市政の運営に努めていきたいと思います。
 2年半後には、大震災・原発事故から10年になります。この間、復興五輪の開催など復興に向けた取組みが加速し、福島市では、新たな未来に向けた総合計画の策定に取り組んでいかなければなりません。
 今回の件を教訓にしながら、県都福島市として、どのように災害に向き合っていくか議論を深め、福島市の新たな未来への礎としていきたいと思います。
 また、制作者であるヤノベケンジさんについて申し上げれば、ヤノベさんは、震災翌月の4月から福島に通われる中で、未来に向けて希望が持てるようにとの思いからサン・チャイルドを制作されました。
 今回の設置に際して、より平穏なイメージの少女像「サン・シスター」を併置することも提案されたり、8月10日の声明文にもあるように不快等を与えてしまう懸念に心を痛め、市が判断すれば、撤去・移設も構わないとする申し入れもいただきました。純粋に福島のためになりたいとのお気持ちであることは疑う余地がありません。
 芸術作品として、鑑賞されるかたがたからの批評を受けるのは当然ですが、ヤノベさん個人に対するいわれなき非難・中傷はないように、切にお願いいたします。
 ヤノベさんは、市民との対話の機会を希望しておりますので、そうした機会が設けられれば、お知らせさせていただきます。
 最後に、本市の統轄責任者として、今回の件を反省し、今後の市政運営の戒めとするため、市長給与の減額措置を講じたいと考えております。


  福島市HPURLよりコピー

平成30年8月13日発表分

サン・チャイルドの設置に関して様々なご意見をいただきました。
 
 こむこむ館前に設置したサン・チャイルドは、精力的に復興への活動をされているかたから作者ヤノベケンジ氏の寄贈の意向を聞き受け、福島市において受入れを決め、最終的には一般社団法人ふくしま未来研究会様からご寄贈いただきました。

 物心両面から巨大な被害を与えた原子力災害ですが、私も、市長就任前から、避難した人たち、県内の自治体や地域で活動するかたがたとともにこの災害と戦ってきましたし、地域にとってダメージの大きい課題にいかに対応するか、二度の長崎県での勤務経験などを通じ苦慮してまいりました。
 こうした中で意を強くしているのは、この災害を風化させず、希望をもって克服してこそ、福島の復興と創生を成しうるものだということです。
 災害と向き合い、それがもたらした課題に一つひとつ対策を積み重ねることで、一回り大きな成果をあげることができるのではないでしょうか。
 原子力災害の真実を心に訴える力をもって語り継ぎ、発信するのは、福島にしかできません。
 「福島」という名は、否応なしに国内外で知名度が格段に高まり、国際的な存在になりました。それも一つの大きな要因となってオリンピック競技の開催地になったのでしょうし、それを生かして、これまでの支援の感謝とひたむきに復興に取り組む姿を国内外に発信する。それによってこそ、国内外からの応援の輪が一層広がり、地域活性化や市民生活充実の力にしていけるものだと思います。
 また、原子力災害が発生した事実は変わりません。子どもたちが、将来、それに関連して困難な人間関係に出会うことがあるかもしれません。そのとき子どもたちの力になれるのは、事実に向き合った教育とこの災害に立ち向かっている大人たちの姿だと私は考えます。

 こうした中で、サン・チャイルド寄贈のお話をお聞きしました。
 サン・チャイルドは、福島空港での福島現代美術ビエンナーレに出展され会期延長されたのをはじめ、国内外の展覧会で好評を博している評価の高い作品です。
 私は、現代アートの愛好家ではありませんが、空を見上げ立ち上がるその姿には、困難に立ち向かう力強さと希望を感じます。また、右手に持つ小さな太陽は次世代のエネルギー問題が解決される「希望」を象徴しており、これらは福島復興の姿と重なり、私たちを励ましてくれるものと思いました
 もっとも、芸術作品の受け止めかたは様々であり、懸念もありました。しかし、「防護服」のようなものを着ていたり、「カウンター」のデザインがゼロであることは、あくまで「原子力災害からの安全」の象徴であって、風評等に与える影響は限定的にとどまり、福島空港等での実績や近年の現代アートの集客力等を考慮すれば、市民の皆様にも受け入れていただけ、子どもたちやまちづくりにプラスになるものと判断しました。

 しかしながら、作品の受け止めかたについて、この度様々なご指摘をいただきました。
 ご指摘は真摯に受け止めさせていただくとともに、今後市民の皆様などのご意見をよくお聞きした上で、このサン・チャイルドの取扱いについて、検討したいと思います。