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質疑応答 |
115 (女性) 縁の下の町 基礎から導く私有公用。私の地元である福井県福井市は、常に大きな箱を地域施設として用意してきました。しかし多くの店舗が撤退して何もない箱になっているのが現状です。保守的な福井に外部のソフトを持って来ても、定着しない事が原因です。箱では限界がある、と分かったため地域施設の建築のありかたを見直すことにしました。 次。そこで普段は都市スケールの箱に収められる機能を、住宅スケールへと転換させ、単位空間を変えることで、ソフトを介さずとも人が集まる施設を考えます。 次、対象敷地は福井県の中心部から、足羽川を渡った所にある住宅地、みのり地区です。中でも新興住宅地として、20年前に整備されたパークアベニューみのりを敷地対象とします。 その中のメーインエントランスの在る一つの区画を敷地とします。平成16年に福井豪雨で被災したことで人気が落ち、黄色く着色された箇所は全て売れ残った空地です。 次。当時の様子です。 次、これまで地域施設はみんなのものであり、誰のものでもないという状態でした。これでは愛着心が生まれず地域に定着しません。これをみんなのものであり、私のものであり、誰かのものという状態にもっていく必要があります。 次そこで、既存住宅の設置階を公共に開放します。これにより他人事でなく私事の地域施設が生まれます。 次、次にプログラムについてです。区画そのものを一つの建築、住戸はその建築部屋ととらえ、ポスト・ネイバーズの居る宿泊施設を計画します。 解放した設置階は、宿泊施設兼周辺住民たちのシェア空間として、様々な人々たちに利用されます。延べ床面積の大き家は福井の象徴でもありますが、使われていない部屋も多く、そのデットスペースがお金を産む空間になります。 次、設計手法について、です。壁をはがしたことで、バリアとなって表れた基礎を用いて解くことにしました。基礎は建築で唯一大地に接する部位であり、建築へと誘う際に無視することはできません。 これまで基礎は意匠的な要素として顧みらることはありませんでしたが、環境や用途に合わせて、変化することで、新しい建築の使い方を提案します。 次、また基礎は設計段階では最後に回されますが、現場では初めに立ち上げる物です。現場と同じ順で設計を進めることで、発生的な建築を目指します。 次、新しい基礎の考え方について、です。 次、図面から60センチの所まで浸水した住宅地の壁をはがし、次 柱の状態を確認すると共に、基礎をを80センチまで上げ、柱の腐敗した根元を切断し座屈長さを短くします。基礎は柱機能に合わせ、設えのように形を変化させ、下から緩やかに住戸をつなぎます。 次。たとえ住戸が無くなったとしても基礎が人の集まる場となるでしょう 次、細かい手法としては、開放的な空間実現のために、既存の柱を幾つか抜き、80センチに以下の基礎に鉄骨フレームを元の1/2スパンで挿入します。 次、新設基礎は既存住宅の外部にまで広がり、そこに新しい柱が運ばれ、屋根が架かります。延びていった軒下空間は、隣家とつながり、みんの屋根となります。 次。建築構造の基礎だけでなく、設備などの基礎も同じコンクリートで作ることで、基礎が生活全体の基礎、しいては町の基盤として見えてきます。 次。設えとしての基礎を簡単に完成させるために、木パネルを数種類用意し、基礎にそれを填めるための溝をあけます。設置する基礎の高さによって、椅子、机、作業台など様々な用途に対応することが出来ます。 次、また断熱カーテンで室内空間まわりを覆い、基礎に温水式床暖房を通すことで、暖かさにグラデーションを設け、冬でも半屋外空間を楽しむことばできます。 次基礎のみのアイソメ図です。遺跡のようにも見える基礎は、見た人それぞれに場の使い方を想起させ、人によって違う風景が生まれます。 次、図書館や、図書館やマルシェ、ギャラリーショップなどの通りを配置し、その周りに宿泊施設やシェア空間が点在します。 次、次 次お願いします 一階の改修事例です。路に面して一様になってた玄関を階段が 新しい玄関口となることで、動線が交錯していきます。 次、二階の改修例です。1階を失った住民は、使いこなせていない部屋を改修し、自分たちが必要な設備を入れます。シェア設備を使えば、生活できる住民は趣味の部屋を拡張するなど、サードプレースとして活用します。 次、パブリックビューイングの基礎は、既存からはみ出ている事で、晴れの日は屋外まで舞台を拡張して使われます 次、ギャラリー通りは新しい屋根の架かる新たな動線となり、人々を屋内ギャラリーまで、導きます。 図書館では基礎が室内からはみ出すように壁を回していくことで、基礎が内と外をつなぎ図書館空間を屋外まで広げます。 次、次、町内集会から演劇まで様々な用途を用いることができるパブリックビューイング、洗濯基礎のついた誰でも使えるコインランドリー、引っ越した基礎のみが残され、まるで庭のように使われていく基礎ガーデン。日によって男女が入れ替わる銭湯、ショップを出しながら、滞在することの出来る宿泊室。 晴れた日は外まで使えるオフィス。二階に住む住民の階段周りは、新しい玄関口として、その家の生活が溢れます。 そこがみのり全体の呼びどころとなり一階から漏れる和らかい光が、暗かったみのりに、活気を戻すことを期待します 以上ですありがとうございました (5:40) 会場 拍手 ぱちぱちぱち |
質疑応答 |
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辻:これ、改修ですか。 115:はい 辻:既存はどこまで残しているんですかね 115:二階部分と、既存の柱です、既存の基礎も一部残っています 辻:二階は全部既存ということ、で新しい基礎を入れましたということですか 115:はい 辻:基礎を面白くするっていうのは分かるんですけど。動かない物と動く物とすると。基本的には上物っていうことが、上物がメーインになるじゃないですか。居住空間としては。だから基礎を扱うことによって、上物が変わるところがあったら聞きたいって感じですかね 115:これまでは、基礎がただ壁に沿って同じ400、高さで回っていた、と思うんですけれども。基礎が様々な高さに変化することで、壁の付き方が変わったり。柱を逆に同じスパンにする事で、基礎が低い所は屋根の部分が下がったりだとか、そういう事が出来るなーっていうふうに考えています。 辻:それは設計しなかったんですか。したんですか。 115:一部設計しています。 辻:ちょっといいですか、どこを設計したか 司会:それを模型で示してもらっていいですか。屋根が下がったみたいな。 115:壁についてだと、こういったところに成るんですけど。柱の高さが低くなったりするっていうことについては今回では。まだ、模型で表現出来ていなくって。今後の展望として、考えているところがあって。 司会:そのほか何かございますか |
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門脇:コンクリートで造らなくってもいいような所が、けっこうあるように見えるんですが。なぜ基礎をコンクリートに拘りまくっているんでしょうか 115:そもそも、この敷地の歴史サーベイから始めたんです。元々東大寺の寺領だった、田んぼだった所を更地にして、近代化したら紡績工場が出来て、またそれが衰退したら更地にして、新興住宅地にして、っていう流れが来ていて。またそれそれが衰退したら更地にするのか〜って思ったときに。変わらない物っていうのが置いてみて、その町のテキスタイルみたいなものが在ると変わっていくんじゃないかと思って。コンクリートに拘っています。 門脇:人間が使っている状態の時を貯金として未来に残す。ストックで残していくと言えるのではないかな。 115:はい 門脇:残していくという考え方。 |
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磯:私有、公有の仕組みを何か考え直そうみたいなことを、ちょっと言っていたかと思うのですけど。ここの提案というのは二階は私有のままで、下は全部持ち主が一人の人が全部持つ。そういうこと。どういうふうに、私有公有は、ここではどうなっているんですか。 115:二階部分は完全に住民のための元の家として使われるんです。下は今考えているのが、ここの住宅地を運営かつ設計した不動産屋とかが、それを持って、その宿泊施設として、開放していて。住民にも不動産が仲介することで、お金が落ちるような仕組みになっていて。 でまあー、階段周りとかは自分の家の下でもあるから、自分の家の一階に置いておきたい物が出て来たりだとか。 あと宿泊施設に置いてある家具だったり、とかいう物も元の住民が使っていてもう要らなくなった家具だったり、とかが置いてあるじゃないかって、いふうに考えてます。 |
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五十嵐:僕、これあの、水がつちゃったレベルまで、躯体がね、腐って来たとか、そういう深刻な問題を解決するための提案だと勘違いしていたんですけど。そういうわけではないの 115:それも兼ねています。で住民の生活とか、財産という物は二階にあるので、確保されていて。かつ、一時的な者、宿泊者というのは一時的に来ている者なので。住民をとりあえず守っているし、かつ改修っていうか、根本切断して、補強ということが出来るというふうに考えます 五十嵐:それはリサーチしたの。この家のここまでがちょっと腐り始めているから、 115:細部に関してはリサーチ出来ていないです 五十嵐:わりと凍結深度なんて言う基礎部分はですねー、使って建築設計とかもしているんで。非常に共感できたし、スーパープレゼンテーションに驚きつつ、ずーっと聞いてましたし。まあ一部分補強のために鉄骨が入っているとか言うのも割と理に叶っていたり。低いとこまで柱が伸びる事に対して、鉄なら水が付いてもいいだろうみたいな、筋も通っているなーと思った次第です。褒めてますはい 115:ありがとうございます |
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司会:その他なにかございますか 中田:二階は残しているけど、一階は同じみな手放したりするわけですね。パブリックに公開したりするんでしょう。ということは、住むということが減築にあたる訳ですよ。減築をすること、といって、この地域がさー、何か働きかけていることっていうのが有るように思うんだけど。これは説明はしてくれてましたか 115:実際この住宅地というのは、20年前に皆で一斉に引っ越して来て。今、子供たちが大きくなって皆巣立ってしまって。子供部屋が、おっきいお家なので一杯残っているんですが。その場所を使ってヨガ教室されている方々だったり、留学生を受け入れてフォストファミリーしている方とか、いらっしゃって。 そういのが、もっと上手に出来る場所が在るといいなーというふうに思って設計しています。 中田:そういう二次利用みたいなものが、一階の透け透けになった所で、再開されるみたいな事をイメージしているんですか。 二次利用っていうか、元々家の中に引き込んで、外国人を泊めたり、何かそういった習い事をさせたり、っていう。ちょっと本来の自分の住み方とは違う機能を、引き込んでやっていた事を。一階をわーっと抜く事によって、そこに皆居て、それを何かもう少し、風通しのいいものにしましょうという事なの 115:はいそうです。 司会:ではちょうと時間になりました。どうもありがとうございました。みなさん拍手をお願いします 会場 ぱちぱちぱち |
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