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関係者への聞き取り記録 
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 質疑応答 

 168 (女性)


 よろしくお願いします。まず物語を読むことは様々な道徳や常識、そしてあらゆる感情を人々に教えてくれるものだと思います。私の母は言語学者です。毎日多忙な母ですが、私が幼かった頃は、よく世界中の面白い昔話を読み聞かせてくれました。そんな母から教わった物語、言語・言葉の面白さと、現在私が学ぶ建築を結ぶことができないか、と考えこの卒業設計に取り組みました。

 建物語、それは訪れる度に、読者自らが既存の物語に囚われず、自らの物語を紡がせる、そういったシステムです。そして文面からだけでなく、五感を通して物語を読み取ることの出来る、ビブレオテーカ(図書館・ラテン語)です



 あ、ふふふっふ。進まないです(裏方PCが作動してない)。ありがとうございます。

 えとー、まずリサーチについてなんですけれども。物語は建築と同様、構造を持つものだと思います。その構造を明らかにする手法の一つに、記号学というアプローチがあります。



 今回参考にしたのは、ラウジミール・プロップというロシアの・・・あれ、どこに・・ふふふ(裏方によるpc操作が順調でない)・・戻る、あー。ちょっと。はいありがとうございます。大丈夫ですね。ありがとうございます

 今回参考にしたのは、ラウジミールプロップというロシアの民俗学者による本です。『昔話の形態学』という本なんですけども。



 彼によると、昔話しには31の展開があります。例えば、昔々あるところに、という導入の展開や、あれ、・・ えーと。・・シンデレラが幸せに結婚しましたという。結婚の展開などがあげられます。そして、それらの幾つかを用いると、世界中の物語すべてが、構成できることが分かりました。

 次に物語の空間化について説明いたします。



 まず、私が行ったのは10の建築要素を抽出し、それらが人間に与える本能的な感情や影響について、考えました。そしてこれらの、シンボル、建築記号を用いて31の物語の展開一つ一つを空間化していきました。それらを記号空間と呼びます



二つ、飛ばしてください、次です

全体構成について説明いたします。



 人が本を読むときに行う行動をもとに持つような、空間を選定いたしました。記号空間はさきほど同じ形状と、に4.5×4.5mのダブルグリッド状の4層に配置しました。




 そして最後に、建物語の読み方についてなんですけれども。



 こちらが、既存の物語を読むときの、えーと・・体験と、お話の展開を図示したものです。



 そしてこちらが、オリジナルのお話を自分で紡いでいくとき、あらゆる話の展開を読み紡いで行くときの体験と、お話の展開を図示したものです。








 こうして建物語が、人々の心に一冊の本としてだけでなく、体験として読まれるものとなることを願い、私のプレゼンテーションを終わらしていただきます。

ご清聴ありがとうございました。


 会場: ぱち ぱち 





  質疑応答

門脇:31の建物類型を物語、物語類型の経験全てが、この建物で出来る。そういうものですね。

168:はいそうです

門脇:それから、31なのかな、物語の構成要素を、形態の要素に翻訳する手つき、というかルールは、どういうものなんでしょう。

168:まず、パワーポイントをもう一度使ってもよろしいですか。私が行ったのは、10の建築要素を抽出して、それがが人々に与える影響。例えば、柱とかが、あ、えへへへ、違うな。何かに囲まれていると、圧迫感を感じるとか。そういった、えーと〜建築のシンボルみたいなものを抽出して。それらを使って、お話の展開で、これがどういう展開かを考えて。例えば切迫感のある展開だと想ったら、そういう、どうやったら切迫感を演出できるかとか。

門脇:いや、たぶんね。昔話の形態学は、一回結婚しました、みたいな展開を、ハッピーエンドみたいなかたちで抽象化していると思うんですよ。その抽象化、たとえばハッピーエンドはどんな建築言語になるかと。具体的に説明してもらった方がたぶん、いいじゃないかと思うんですよ。

168:実際に、例えば戦いのシーンとか具体的に作って説明したいんですけれども。スライドをどんどん送っていただいていいですか。ありがとうございます。

例えば、これは闘い、H戦いというシーンの空間なんですけれども。柱を分散させて、それらに囲まれた所で読者が本を読むことで、切迫感とか、違和感を生じ、感じながら、その展開を読む事ができます。

その次お願いします。こちらは、大きな、全部・室内なのに、いきなり大きな開口がある空間に入るんですけども。そうしたときは、今までとちょっと違った空間体験を味わいながら、変身、浦島太郎がお爺さんになってしまったとか。そういった展開を読む事ができます。

門脇:分かりました

168:大丈夫ですか、すみません ふふふ

辻:これ、使い手は・・・誰が使うのかね。

168:本を読む人みんな ふふふ という設定です

辻:お部屋と廊下に分かれていると思うんですけど。廊下の意味と、お部屋の空間のスケールの設定、4.5mでしたっけ。それ、なんでそうなの、寸法なのかっていうのを教えてください。

168:まず、最初の質問に対してなんですけれども。廊下が在るのは本を読むときに頁をめくったりしながら、読むじゃないですか。そういたときに、ちょっと本から目を離して、ああ主人公はどうなんだろうとか。回想したりとかすることが、実際にあると思うんですけど。そういった空間を設けようと思い廊下を作りました。

で、二つ目の質問なんですけども。4.5m×4.5mにした理由は、全ての展開に対応できるグリッド、全部単一な重みなので、全部を揃えたいと思たときに、ある程度大きさが うん。簡単に言いますと、全部の展開を作れる大きさ、ミニマムな大きさは何だろうと考えたときに、4.5m×4.5mに行き着きました。うふふふ 大丈夫ですか



磯:オリジナルの話をつくる、って話がありましたけど。それは部屋を通り抜ける順番を変えていくと、経験する人によってエピソードの順番とかが変わって、それぞれ独自のストーリーになると、いうことですか。

168:エピソードの順番も自分で選べますし、その部屋で、例えば戦いの展開の部屋で、どのお話の戦いを読むのか。例えばそれが金太郎なのか、浦島太郎なのか。

磯:それはどう通り抜けてもお話、ストーリの整合性みたいなのは保たれるんですか。なにか矛盾が起きたりしないんですか

168:保たれるという実証をしたのが、二番目の断面展開模型なんですけども。たぶんというか、大丈夫です。一応ルールは、ある程度のルールは設けたんですね。例えば登場人物を全部。

磯:でも廊下挟んでいるから、どういうふうに部屋を回るかっていうのは、どうでも行ける、っていう事なんですかね。

168:そいう事です。もし既存の話を読みたいときは、そのルールに従ってマップが渡されるので、そのルールに従って進むんですけれども。そうではないとき、自分で好きなようにお話しを紡いでいきたい、と思ってこの建物語を読むならば、自由に歩けます。自由にお話を紡いだり、でそれが成功するはずです。

磯:物語が先にあるのか、空間の体験が先にあるのか、どっちなんですか。

168:なるほど。まず空間の体験が先にあります。で空間の中に入って行って「わーすごい切迫感あるなー」と思って本を開いて、その緊張したシーンとか。幸せのシーンとか。色んな、あると思うんですけど・・を読んでいきます。



青木:自分で気付いているのかどか、分かんないんですけども。全体の作りは立体格子って言ったらいいのかなー、出来ていて。その中に形態要素が入ってくるから、要素以外、吹き抜けとか、隙間とか入っているでしょう。その隙間とか、吹き抜けが魅力的なんですよ。つまり貴方がこの物語要素に準えて作っている建築要素の裏側って言ったらいいのか。そっちをポジとすれば、ネガの部分が、この建築を作っている、というふうに見えるんだけど。それはどう考えているの。

168:廊下のアーチを考えるときに、そこにはとても拘ってみました。その元々は四角い、つまりアーチを描いてなかったんですけども。そういったものが連続するよりも、この壁と壁の間に出来た空間をより、面白く見せるのは、こういったアーチがいいんじゃないかなーと。そういった感じで、スタディーを進めて行きました。

魅力的だと私も思います。ふふふふ。

青木:それを聞いたのは、さっきの説明の中で言うと、その説明の中から、そこは含まれないじゃないですか。

168:そうですね

青木:だけど、貴方がやろうとした事は、さっきの説明の内容でしょう。物語にも構造がある。そういう構造の作り方で建築を作っていけないか、っていう事なんだけども。ちょっと違うところに、つまり、行ってないですか、っていう質問なんですが

168:違うところへ・・・無意識です えへへへ



門脇:でもさー、物語構造の補集合というのがあって、物語世界の外が魅力的だと想ったわけでしょう。それは物語の構造じゃない部分なんだけども。その事をどのように捉えているんでしょうか。どのように思っているでしょうか、っていうのが青木さんの質問だと思うんですけど

168:構造以外のところは、どのように捉えているか。えへへへへ。

門脇:すなわち、物語では書けなかった部分が空間化している訳ですよね。大変魅力的に。だとするとそれは貴方にとって、どんな意味なんでしょうか。あるいは卒業設計のこのトライアルの中ではどのように、その意味を発見できるのでしょうか。っていう質問。

磯:貴方が物語作家にならないで、建築家になろうとしているのはなぜですかっていうことだよ。

168:ふふふふふ。うーんと。ちょっと難しい質問ですけれども。なんですかねー。

門脇:後半にぜひ聞かせてください。

168:分かりました。ありがとうございます

司会:考えておいてくださいね

168:はい。

司会:じゃーみなさん大きな拍手をお願いします

 会場 パチパチパチ

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