HOME シリーズ 佐藤敏宏 被災地に入る若者に聞く |
松井貴之 さんに聞く (in志津川 2012/10/23 雨) |
佐藤:松井さんの生まれたのはいつ、どこですか 松井:1986年6月で 生まれは京都北部の宮津市というところです。 家は山の方です。 佐藤:いま活動拠点にしている ここ、宮城県志津川の桜沢の風景と合ってるんじゃないですか? 松井:似たような風景ですね ふふふふ古里に戻ってきたかんじ。違うイメージもって来たんですけど こんな かんじですね。 佐藤:何歳まで 宮津でくらしたんですか 松井:2歳までです。それ以降は京都市内に。 佐藤:宮津にはおじいさんが住んでいるんですか 松井:おじいちゃんとおばあちゃんが住んでます 佐藤:両親が宮津の人なんだね 松井:そうです。 佐藤:3歳からの京都暮らしは主にどこに住んだんですか 松井:京都では転々としてまして、最初は右京区です。西の方です。小・中・高ぜんぶ京都です 佐藤:餓鬼のころ 何してました?のぞきをしてたとか? 松井:ははははは。餓鬼の頃ですね、採石とふふふふ、石集めてたんですよ。 佐藤:宮沢賢治じゃないですか!君は僕に会うために数億年 待ってたんだねコンコンと 石を叩くと。そういう世界にくらしてたのね 松井:そういう世界ではないですけど ははは 単純に はははははは 佐藤:採石ってどんなふうなことしてたの? 松井:普通に鉱石探しにいくと。その辺の山に行くんです。鏨とハンマーだけ腰につけて。 佐藤:京都の西側はどんな地層になっているですか? 松井:地層そんなに詳しくない。 佐藤:御影石だからけですか? 松井:鴨川の北の方に行くとかんらん石とか。金ちょっと出たりするですね。そいうの採りにいっていた。 (右絵 ネットより かんらん石の特徴 ) 佐藤:砂金とかみつけたとかですか 松井:見つけなかったですね はははは、たぶん砂金じゃないですよ。砂金や!砂金や!いうて喜んでるの 黄鉄鉱とかです。あんなんはあります。 佐藤:動物じゃなく石に興味をもった切っ掛けはなんですか? 石男ですよね。 松井:石男ってすごいですね はははは 巌みたい。なんでですかね〜物心ついたときからって感じです 佐藤:今も石採取しているの? 松井:今はもうやってないですね。実家の方にはハンマーとかおいてありますけど。 佐藤:世の中には干してあるパンツ盗む人もいるけど ドロボウ呼ばりされないの 松井:けっこうありましたけどね。はははは 人の家の山へ勝手に入っていっていたんではははは。だれの山だかわかんないし。 佐藤:キノコやタケノコドロボウとまちがえられると 私石採取してますよと言い訳するんだ 松井:あの頃は何も分からずに採ってましたね。変わっているとか綺麗や〜とか。形とかここ違うとか。小学校ぐらいから高校入るぐらいまではやってましたね。 佐藤:自転車で山へ行くんですか 松井:そうです。一人で 佐藤:弁当もってね 熊でてこないですか? 松井:熊は遭ったことないですね。猪はあります。ふははははは。怖かったですけど。 佐藤:狸や狐は逃げちゃうかな 松井:そうですね。 佐藤:天狗には遭わなかったですか 松井:天狗はみたこことない ふふふふ 鞍馬山の方ですよね 佐藤:クラブ活動はやらず ひたすら石男だったと 松井:そうですね クラブほとんどやってないですね。石集めてましたね〜。高校生になってはやってなかったですね。 佐藤:石なんか小学生から集めているといじめに遭うんじゃないのかね 松井:いじめはないです。ゆってないですね。それは一人の趣味です 佐藤:珍しい石 持っているよ〜って言いたくなるじゃない 松井:いや〜ないですね。友達とやっていたのは石集めの傍らの秘密基地作りですね。そんなんやってましたけど。 佐藤:秘密基地は穴を掘るタイプですか 都市寄生タイプ どちらですか 松井:穴は掘ったことないですね。マンションの貯水タンクの下とか、あとは川沿いの、桂川のちょろっとした処 佐藤:スクウォッターの方と一泊するとか?そいうの経験ないの 松井:スクウォッターと一泊したのは自転車旅行に行ったときだけしかないですね。四国でお世話になりましたふふふふふ。ははははは。どこやったかなーあれは。それは高校生の時ですね。 佐藤:旅行好きなんだ 松井:旅行はまあ〜自転車で京都から愛媛まで行きました。 佐藤:本四橋ありましたか? 松井:僕が高校生の時はありました 佐藤:あの橋は無料で通れるんですか 松井:岡山ぐらいまでは友達と行ったんですね。そこで喧嘩別れしまして。 佐藤:いいね ふふはははは 松井:はははは もうお前おったらあかんって。そこれから岡山の下の方からこう、何とかフェリーって出てるんですよ。フェリーに乗ってみたいなと。500円ぐらいですね。 佐藤:四国のどこに上陸したの?今治とかですか。 松井:ぼく香川に上陸しましたね 佐藤:それで四国を とことこお遍路自転車の旅で1周したんですか? 松井:一周しなかった。 佐藤:自転車 好きなんだ 松井:そうですね。 佐藤:出町柳の駅そばで自転車屋さん開いている若者 俺知っている?俺唄つくったらドラム叩いてくれたんだけど はははは 松井:比叡山電車のあの自転車屋は友達の友達ですね (専門学校へ) 佐藤:おお〜知り合いか〜 ところで 少年時代は石集めをした変わった子どもだったと 大学は行かなかったんですか。 松井:行ってないです。ぼく専門学校なんで。 佐藤:今26才で被災地 志津川の山奥にきちゃって〜 えらい処で暮らしてますね? 松井:はい。 佐藤:フェースブック観ると彼女も居るって表明しているし。女に縁があるな〜 松井:はははは 縁はありますねー ともにふはははははは 松井:あります あります。最近はめっきりないですけど。 佐藤:ここ桜沢には鴨と老人しかいないんじゃない? どうして大学に行かなかったの? 松井:興味がなかったんですかね。単純に。普通行きますね。 佐藤:大学に行って公務員になるって夢を語る若い人多いんだけど 夢も希望も無き時代は公務員だと 松井:なりたがりますね 佐藤:そういう平凡なマインド・ハートはなかったの? 松井:なかったですね〜 佐藤:いいかげんに生きてるんだね 松井:いいかげんかもしれない 佐藤:でも彼女は出来ると 松井:そうですね。 佐藤:人生において彼女が出来れば他はどうでもいいからね〜 松井:まあそうですね。そうですねと言っていいかどうかわからないけどふふふふ 佐藤:高卒だから18で卒業して26才まで8年はどんなことしてたんですか 松井:高卒後の最初の1年はアルバイトして金貯めてましたね。 佐藤:貯金の目的はあったの? 松井:専門学校の入学費稼ぎみたいなかんじですね 佐藤:とうちゃん出してくれないんだ 松井:そうですね。 三歳ぐらいのときだったかな両親離婚しまして。 佐藤:じゃ かあちゃんに育てられたってことか。 松井:そうです。 佐藤:母親 思いなんだな 松井:いや 26 でここに来て居る。そうも言えないはははは ともにはははははは 佐藤:高校も自力卒業ですか? 松井:奨学金とかあるので、その辺は。兄弟は姉と弟なんで 佐藤:かあちゃん3人育てるの大変だよね とうちゃんどうしてんの 松井:まだ京都の北の方にいるんじゃないですかね 音信不通ですね 佐藤:かあちゃんかわいそうだからアルバイトをやって 専門学校の学費を貯めたと。だんだん涙物語になってきたな〜 松井:へへへへ そんな こんな奴 探せば どこにでもいますよ。 佐藤:女性が一人でくらし生きることができるんで 離婚できる社会になったんで 別れる夫婦おおくなってよい時代になりましたね〜。格差が目に見えるように出来てた世代なんだ。むかつかない希望格差社会ってのに。俺をただで学校に入れろ!って言わなかったの? 松井:言わないですよ。 佐藤:離婚してる両親の子だと専門学校の学費半分になるとかってなかったの? 松井:大学はないと思います。たぶん中学校ぐらいまでありますけど。 佐藤:大学ぐらい誰でもただで入れてもいいと思わない? 松井:はははうふふふふ。いやー勉強してるやつやったら入れてもいいかなーと思うけど (動機) 佐藤:専門学校に入ろうとした動機は何だったの?バイト一年もし 貯金してだよ 松井:空間デザイン・内装系のインテリアとかあるじゃないですか 佐藤:石採取とあまり関係なさそうだけど 松井:石と関係なかったです。そこは全然。ちょっとちゃらちゃらした方に目を奪われましてね〜。 佐藤:空間デザインはちゃらちゃらしていると いいいね 松井:インテリアでざいなーとか有名デザイナーとか。そういうの見てたら格好いいなーと思っちゃった。ちょうど僕の高校卒業した頃(2004〜5年)ってそういうブームだったんです。何とかデザイナーズウィークとかそいういの。 佐藤:デザイナーズマンション系かな 松井:そうです。デザイナー系の雑誌が一杯でましたね サトウカシワとかあの辺とかけっこう出始めたぐらいですかね。インテリアとか 佐藤:デザイナーに感じたと 松井:デザインって面白いなと思って。 佐藤:雑誌に載っているなどのかっこよさですか 松井:そうですね見た目に反応した 佐藤:で、1年バイトしてから20才で専門学校に入学したと 松井:19ですね。そこは2年間行きましたね。そこはね京都造形芸術大学ってとこあるんですけど。そこのグループがやっている専門学校に行ってまして。そこで色々な先生と出会って。色々空間のこととかやっているうちに。そこは建築系じゃなかったんで。で、これは建築までやらな^あかんのじゃないの?という感じになって。 佐藤:再度専門学校に入り直したってことですか 松井:そうです。入り直しましたね 佐藤:また アルバイトで学費稼いだんだ 松井:そうです。 佐藤:学費って幾らなの 松井:200万ぐらい 佐藤:たかいね。生活して200万残さなきゃいけない 松井:そうですね、けっこう辛かったはははは。で、その前の専門学校出て 2年間ぐらいは自転車屋やってたんです。それも半分趣味がこうじて。そういう知り合いがいたんで、「こい!こい!」って言われて。 佐藤:友達の自転車屋でバイトし200万円ためて〜専門学校へ再入学したんだ 松井:そうですね。 佐藤:建築の専門学校は何歳で入学したんですか 松井:23ですかね 佐藤:23、4才は専門学校に通っていたと。バイトは無しですか 松井:バイトはしてました。 佐藤:予想外の路を歩んでいた人だったね松井さんは 松井:はははは はい。そうですか。 佐藤:専門学校卒業して 志津川に来ちゃったんだ 松井:僕は今年 1年ということで来ました。 佐藤:24,5才のときが専門学校ですね。卒業して志津川へ来たんですね。 俺レクチャーで京都で、ワイワイしたときは 今年の2月だから専門学校生だったと 松井:そうです。 佐藤:専門学校卒業したんで志津川に呼ばれたんだ「おまえこいやと」 松井: 佐藤:今年2月の京都での俺クチャー 動画取材にいってへろへろに疲れているにのに〜 魚谷さん学生人集めて置いてからに〜いきなりしゃべれって言うし。行ったら「人一杯いるじゃん」(絵:俺クチャーin京都 2012/2月) 松井:佐藤さん来るから来いと。最初魚谷さんと出会ったときに 魚谷さんのことネットで調べていたら、魚谷さんの記事が出てたんで。そんときに初めて 佐藤敏宏さんってかたおられるやと。 佐藤:魚谷繁礼さんに聞き取ってweb頁つくってアップしてるから それを見たと 松井:それで初めて佐藤さんを知りました (なにしてるの?) 佐藤:ここまで 18分かかりましたが 、これからここでなにしとるにゃ〜ということに移ります。こんな ど田舎に何しに来たの?昔くらした古里に戻ってきちゃったと 松井:ふふふふ 「なにしに来た?」造りに来たっていうのが一番です 佐藤:何を造りにきたの 松井:建築ですかね 佐藤:ここに来て なにか造ったですか 松井:建築物っていうのか なんていうか、ちゃんとしたもんじゃないですけれど。小屋は今東松島で造っています。作成中です 佐藤:志津川から遠いやん 松井:遠いですね。だから1回行ったら3日ぐらいは車の中で寝泊まりしている 佐藤:番屋っていう建築ですか 松井:それじゃないです。小屋つくってます。週一回ぐらい学生が。宮城大の子らに手伝ってもらって。 佐藤:志津川を拠点にしている理由は 。建築を作りに来たのはわかったんですけど。小屋とか番屋とか 松井:番屋作りは僕は参加してなかったですね。去年ですけど 佐藤:まだ 来て半年しか経ってないしね。 松井:去年は9月に小泉の方で魚谷さんの外部環境改善プロジェクト。仮設のですけど。仮設住宅に庇を取り付けたりっていうのは去年やらしてもらいました。 佐藤:先輩たちが導いてくれて色々な建築体験をしていると。最初からの目的ですか。来てみて自分が被災地に来てみてずれといか違いはどんなところですか? 松井:被災地のイメージというか、もっとなんて言うんですかね、凄い変な言い方ですけども、もっと過酷なんかな〜と。 佐藤:被災地の人が切羽詰まって餓死しそ^で 死ぬか生きるか状態かと思って来てみたらと。 津波が押し寄せてきて壊滅動画をtv 観ているからね〜 松井:そうなんですよね (絵:松井さん番屋のデッキづくり) 佐藤:TV観ていると被災地では切迫した時間が流れているのではないかと きてみるとと 松井:そうですね。去年来たときはみんな仮設で庇とかもなくって、雨ざらしの状態とかやったんで、そいう(切迫した)のみてたんですけど。けっこう大変なんやなと思ったんですけど。今度 来てみて一番ギャップと言うか あったのは、なんて言うんですか経済的に余力のある人っていうんですか、けっこう居るっていうことが。その人たちがどんどん再建。 佐藤:ここで生きられない、余力の無い人は都会に移動してしまったんじゃないですか? 松井:いや!そこで漁師さんとかは 離れるっていうことは選択肢としては無いようなので。 佐藤:海産物とれば生きていけるって知っているからな 松井:そうですそうです。 佐藤:ここに とどまった方が豊かに暮らせる、と知っていると。そのことがまず驚きであると。貧しい人は俺自身かと 松井:ふふふ 困っている方は知り合っていく中でも 出会うんですけれど、困っているがゆえに、僕の(できる支援)範疇から外れ過ぎている。修復とか地盤沈下とかそういう仕事なので どうしようもない。 佐藤:松井さんの術・建築仕事でお手伝いの範囲ではないと、土木工事だと 松井:そうなんです。今日 通ってきたと思うですけど 途中に東和町っていうのが、三陸道降りて在るんですけど。そこで知り合った猪俣さんていう方がおられるんですけど。立派な家屋をお持ちで土蔵とかも何棟かお持ちですけどそこは全体的に敷地が谷のようにくぼんでしまってるんで。 佐藤:敷地が凹んでしまったんで建物を修繕したりできないと 松井:阿部さんの力も借りながら、修繕する業者さんを紹介してもらったりとか。いくらかかる? とか見てもらうとかして、話を聞くぐらいしか出来なかった。 (桜沢の暮らし) 佐藤:松井さん建築術の出番を見つけるのが難しかったと。ここで暮らしていて寂しくないんですか?半年暮らしていかがですか。 松井:最近は片岡さんが来てくれたんで寂しくないです。話し相手がいるっていうのはいい。はははは。嬉しいんですけど。最初の頃はけっこう寂しかったですね〜。 佐藤:ここには 光り通信があり〜ネットと繋がっているから それほどでもないかな 松井:ははは ネットはあるんで、なんとか暮らしていますです。 佐藤:これから寒くなりますけど 志津川を拠点に頑張ってください 松井:はははは はい。 |
|