2014年5月11日 資料ネット総会 における報告 
 (佐藤敏宏)


 史料保全活動とは直接関係はないのですが、貴重な時間を頂戴させていただきまして、2つの内容の報告をさせていただきます

一つは、石巻本間家土蔵の修繕についてです。もう一つは、メルボルンメル大学を含めた7つの大学の、唐桑半島の鮪立地区のおける多様な活動についてまとめた、報告書の紹介です

初めに、本間家土蔵についてですが、5月1日の資料ネットニュースにより所有者である本間英一さんの方から3.11震災遺構 本間家土蔵修復の道のり」の題にて配信されたとおりであります。311直後から3年ほど掛かり修繕工事が完了しました。 本間家土蔵 修覆イベントが 5 月24 日 午後1時から 本間家土蔵(石巻市門脇町2-6-2)にておこなわれます。新年度が始まり、お忙しい時期とは思いますが石巻に足を運んでいただき、本間さんの挨拶・報告をお聞きいただきたいと思います。その後におこなわれる餅つき、ならびに蓄音機の鑑賞会 など参加いただければ幸いでございます。

日頃の宮城資料ネットの関係者の皆さんの活動や本間さんが築き上げた人的ネットワーク、被災蔵などに興味を持ったマスメディア記者の方々による記事になどによって、修繕支援が始まりました。ロシア、アメリカをはじめ日本津々浦々の方々の金銭支援によって修繕工事を終えさせていただきました。個人所有土蔵を民間の人々の連携によって成し遂げた、ある種の奇跡の場に立ち会わせていただくことができました。そのことに関しまして改めて関係を頂きました皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。


次に、唐桑半島で活動報告書についてです。メルボルン大学、東京大学、東京理科大学、芝浦工業大学、宮城大学、京都工芸繊維大学の先生と多数の学生の皆さんに参加いただきました。彼ら「地域の歴史的背景知らずに被災地に入り活動をすることは避けなければいけない」と考えまして、モリス先生、斎藤善之先生、佐藤大介先生に被災地域の歴史の講義をいただきました。講義の終了後は講義録を配信し聞き取り行為や浸水域図の作成などの多様な活動が始まりました。京都工芸繊維大の岡田栄造研究室が発行した『鮪立へ。』は地域で人気をはくし品切れとなり増刷をしました。

 多数の留学生も参加しておりましたので、3人の先生によって世界各地の若者達に、日本の古文書や古建築を介し、地域の人々の記憶が保全される現実を伝えることができました。その事は地域の記憶が継承される実際の姿を世界の若者に伝えることでもありました。 講義の場には被災民の方々も大勢おりまして、被災地に入る若者と共に、改めて自らの歴史を再確認することとなり、地域民の誇りの再生や祖先の生きて来た様を思い出すことで、すこしずつ生きる自信が回復される姿にも触れさ体験させることができました。その様な場を多数もうけることで、両者は共に災害の現実から立ち上がりつつ、少しずつ癒やされていったとも思っています。災害に遭っても交流することで明るく生きる姿に触れる機会を継続することで、やがて起きるだろう、多様な地域の多種災害において歴史家の方々との協働作業の大切さを、若い学生の多くの方々に伝えることできましたことを、改めてこの場を借りて 御礼申し上げます。

それから、被災地の人々も世界各地の若者い多くの学生と触れ合うことで、癒やれながら 復興に立ち向かうための多様な言葉を獲得し、自ら立ち上がる発言をしはじめる切っ掛けをいただくこともできました。活動の初めに三人の先生方の歴史的講義をいただくことで、多くの事が起き、活動はまだ続いていると考えております。

 私は「2012年の夏、高台移転用地をまとめた」ことを期に新聞を発行しました。それは、被災地の人々が共に解決すべき被災地の課題を可視化共有するために発行しました。地域の各戸に配布しました。そのことを気仙沼市役所に報告し一端活動に節目を入れました。東京大学・理科大・芝浦工大の皆さんは現在も防潮堤問題をはじめとする、被災地に残る多くの課題を解決するために活動を続けております。彼らは昨年夏、それまでの活動をまとめた 『漁業集落から見た復興の課題』と題した報告書をつくりました。今日は5冊ほど持参いたしましたので興味のある方にさしあげたいと思いますので、申しつけくださいませ。

 ご来場の関係各位皆様の暖かいご支援を得ることで、被災地に入った若者に地域の歴史を伝えるための支援することができました。彼らが多数の被災者と交流し、お互いが癒やされ考えながら、21世紀的被災地の現実を学ぶ場を整え提供することが出来たと考えております。その結果ですが、多領域の緩やかな連携の有効性を被災地で伝えることができただろうと想像しております。参加した多数の若者がやがて来るだろう多くの災害や困難に立ち向かい、未来を拓くことだろうと思うことができます。ご教授と協力ありがとうございました。以上です

  佐藤敏宏

 
   (参照資料)

   
   2012年7月 メルボルンメル大・理科大生による 藤浜の人々との交流活動と 集合写真
    

■佐藤敏宏は平成25年度 福島ヘリテージマネージャー育成講習を受講終了後、登録申請しました
石巻本間家 土蔵修繕工事 HP http://www.hanadataz.jp/k/001/00/honma00.htm
  工事の経過録と 本間英一さんが発行する門脇町2〜4丁目コミュニティ ニュース を読むことができます

     
鮪立港まちづくり百年会HP http://www.hanadataz.jp/k/002sibi/01sibi/front-sibi.htm
  活動録、『鮪立へ。』フリーペーパー、発行した新聞をPDFで読むことができます
         
    京都工芸繊維大生によるフリーペーパー    佐藤敏宏が発行した新聞 「宿藤鮪報(おらほう)」