HOME ↑

南泰裕建築ParkHouse体験記
    
 放置されてる違和感・・の源を訪ねたい (>_<) 

 その1へ  20日の見学のこと これなんじゃない源へ   

7月20日青春18きっぷ使い、下高井戸の南さんの建築がほぼ出来たようなんで出かける。オープンハウスの案内メールには

 「・・私の事務所にて設計・監理を行ってまいりました住宅「Park House」が、竣工間近となりました。全体の大半を平屋とし、その上部を全面屋上庭園とした2世帯住宅です。つきましては、クライアントのご厚意により・・」

 Park Houseと言う名称であると知って驚き・・と同時に名称と建築が繋がらないなと疑問が沸いた

 一月前に見学した時は「放置されてる違和感がそのまま表現になってる」と思ったが・・その源はなにか、工事中の現場では解らなかったから、完成したらもう一度出かけて、違和感が生まれ出る源を確認したいと強く思った。そんな気分にもう一つ名称の疑問が加わり、見学への動機がモリモリ盛りである。

Park Houseの屋上から都会の夕日を眺めたいと思ったので、夕方行くようにしますとメールを入れて置いたが、下高井戸の 駅に着いたのは丁度5時頃だった。

電話を入れると、南さんはすでに現場に来て居るらしく「赤いドアをからお入り下さい」なんて言ってる。「こないだ来たとき赤いドアなんてなかったなー」・・とそのことが理解できなかった。急いで北側立面を商店街の終点あたりから写真を数枚撮る。今回はフォトコラ用も撮っるゾーって張り切ってるんだから、何だかんだと話して居る場合やないぜ・・と思って急ぐ。

        

北側敷地境界に立ってるブロック塀と新築された外壁の対比が面白い。通路の飛び石だって、使い古された石を切り刻んで使っているのが解る。アプローチを東奥へと進むと、ドッキリ させるような真っ赤な扉と・・周りはモンドリアンの絵のように面を格子で仕切り色分けしたようなモダンな色面に出会う。

 無造作に通り付けられた郵便ポスト、踏み石周りの土、通路左にある 何処にでもあるブロック塀・・そんな散乱した中を通過していると、犬の記憶を書いてた森山大道さんの写真集なんかを思い出す

下高井戸の駅から続く商店街をひとしきり過ぎて ぽっかり色彩が休息している場にPark Houseはある。北側の形は都市の表面を素直に建築化していて、前面道路に面したブロックの天端をなぞると そのままPark Houseから近隣住居の天端になり、やがて近隣にある巨大な共同住宅の天端になり、ラインはやがて都市の空を切り裂いて行くのが解る。

ParakHouseへの入り方は、その家自身が都市の奥に隠れて在る・・というか、都市の土地下に潜り込んで逼塞していたい・・とでも言いたげであるような入り方や・・関係になっている。都市の地中深く奥へ奥へ導かれてその先に在る家・・とでも言ったらいいか。逼塞するような家 その入り口が真っ赤なドア。一つ手前にある両親用の部屋への入り口ドアが真っ黒のだったので、その赤はよ鮮やかである。

         
 
うっかりすると とぼけた・・言い方を変えれば「調整に失敗したんだ、能力不能だなーと思わされちゃう 仕掛けがしてある・・よくみると実はそういう印象を与えるように作り込んでいるので 素直な見方をすればそのような印象を持つのは素朴な反応としては正しいのである。「なんて都市は猥雑な形態なんだ」と嘆く身振りを誘っているようのである

だから建築の作り方を下手に見せかけただけに 北立面の中に突然大きくて真っ赤に彩られたドアが現れるので、心がざわつく仕掛けになってるわけなんんだ。 

見覚えのある框と通路。通路を突き抜けると南側の庭に出るが、まだ緑化用 斜面は工事中である。アスファルト防水剤や枕木のような材料が整然と積まれてる。

 通路の西壁面には明るい緑の物入れが整然と仕込んである。扉は黒板(緑板)の素材を使ったとかで、チョークで何でも書き込めるようになっている。子供さん達が成長すると落書きだって自由に書けるんだ。それはあたかも都市の中に落書きを残して行くように。道にしつらえた掲示板になってるんだ。「掲示板を開けると、都市の生活者の姿が覗けるかもしれないなー 」と思ったが、覗くことは礼を欠く行為なので開けることは無かった。

通路にはやがて庭(屋上庭園)で使われるのだろう縁台が積み重ねられて、古民家から取り寄せた框と対話している。

通路を突き抜けて庭に出ると、道路側の家族の方々はすでに越して生活を始めてるよううで。2の家族が1の庭と屋上庭園を共有しながら一緒に住むことになるんだ

 工事中の斜面の下は2台駐車可能な物入れ兼倉庫になっている。物入の壁を取り除き階段を取り付け変更した とのこと・・そのほうがいいに決まってる。斜路が都市の地下に潜り込むような感じになって床下が豊かな本体と連続しそうで とても面白いし、ぐんと使いやすくなる。

         

 庭を一巡りして居間から台所や食堂それから風呂などを見る。居間の北側には和室があるが、床の間や天井に古材が使用されていてオシャレであるんだが・・しかし食堂や和室のしつらえ方や 方々に壁にうがかれた穴というかひっかき傷と言うか、窓と言うか都市の影というか そういう情報が渾然と放置されてたようになっていて 見る者を惑わす仕掛けになっている

 ここでもいかにも 調整を放棄してしまったかのような操作がしてあるから、平凡に見ると「失敗してらー」と軽口を叩かせるようになっている だらか・・そんな者がいてもいいんだ。それを積極的に誘発させるようにしてある。とても知的な遊戯をしてるのだが、トッサには理解できないかも知れないし、建築に興味が無ければそんなことはドウデモ良くて、この穴使えそうなんて話で済ませることだってできるようになっている。

そのように気づくのは寝室と思われる1階東南の部屋や、2階東南の部屋を体験するとより明解になる。部屋に入り込む影や壁の窪みがあたかも都市の外壁のように見えて、四方の壁が全く対話を 互いに拒否しようとする意志さえあるかのようなんだ・・作り込んでいる。 

        

 都市にある建物の表面が道を挟んで互いに違和感を表出していてるような姿に都市の建物や樹木が影を落としコンで出来上がる、一種の都市自身が描く都市コラージュ作品を観てるようなのである。明らかにミニマムへの志向ではないが・・まだ解らないと思わせるのは、四面の形態もそうなんだが 仕上げ方を故意に混乱(混在)させたりしている。ミニマムへの そうさ なんて何時でも出来るからな・・。

同様に床材も混乱(混在)させているのがだ ロフトを登り切って、都市の中にぽっかりと出来上がったてしまったような住居井戸をのぞき込む時にそのことが見える。都市に深く彫り込まれた居住井戸は秘密裡に構築してしまった土地(大地・床・屋上)のような格好で放置されているんだな・・。

ロフトまで駆け上がらないとそのことは一目で判明しないようになっている。手すりだの 手すり代わりの物入れだのが、視線を阻んでいて都市の住居井戸の存在を知らしめることはないが、やはりそれぞれを体験して登って行くわけで、それぞれのシーンが繋がると そういう構造が意識として生まれる。・・そんな仕掛けだ

          

そんな楽しい都市住居井戸の階段を天辺まで登って、また少し下るとナイスな西にぐーんと伸びた屋上が現れる。その快適さを部屋の内部からは楽しませないようになっている。中途半端な床が人の溜まるを・・拒む。否が応でもデッキから芝の超気持ちいい屋上へ導いてしまう。

デッキの北にチョイト物入れが付いていて、都市の視線や騒音を遮るように作られていて、周辺の景観を建物に 詩込んだような作り方になってるのがとても上手い。凡人には決して作ることができない物入れである。
          
そこから先は もう言うことはない気持ちがいい芝の屋上・・都市にモックアップされた大地なんだから、楽しむほかない。芝生の上に南さんとごろ寝してダベり始め、いま辿ってきた 都市の居住井戸の構造はすっかり西面の外壁に包まれいしまい 解らなくなている

芝生に寝ころんで、芝生同様 都市の大地から可愛らしい住居井戸の外壁が頭を出している。その形は都市に広大に広がる建物の屋根のラインをなぞるだけだ。
「夕べはここに寝ちゃいました」なんてぬかしてる。そうだよなー・・今晩私もこの屋上に泊めてもらいたいよなー

          


                                次 へ