建築あそび記録 佐藤敏宏 作成

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2001年3月3日
槻橋修氏を囲み「建築あそび・・記録集
                その 4 


 



t:アメリカの社会学者で、都市社会学者で・・これは宮島さんの方が詳しいと思うけど・・

w:わかるですけど・・

t:ダーティである、浮浪者のスタイルであるとか、ブルジョアと労働者階級と言うモノを・・
s:おまえら黙って聞け・・おまえら勝手なこといってんで・・槻橋さんどうそー

w:僕はすごい、いいコラボレーション・・

m:僕はいいと思うけどなー・・佐藤さん何が気にいらないの・・
  会場笑う

w:槻橋さんがおっしゃってることはすごい重要で、僕らの世代は過去の文脈とかそういう文脈でなくて、いま自分が生きてる世がどうなってるかのほうが気になるですよ

t:それは違うと思う、それは君の発想だと思うけれど。僕は違うんです。今も大切だけれども、今というのはコンテクストにスゴク影響されてるという気もするわけ。今の中に過去が埋め込まれてるんですよ。あなたの過去も、世間の過去も埋め込まれてると思うわけ。

w:なるほど

t:それを全部・・今として括って見るという見方は、全部の建築、汚らしい建築をダーティー・リアリズムとして括って見る見方と僕は同じ危険性が有るんじゃないかと、自分では感じる。・・だからそこをもっとそこを丁寧に見る必要が有るんではないかというのが僕の主張なんですね

s:パチパチ・・僕たちは静かに呑みましょう・・ろくなヤツがついてこないな・・渡邊は短・・槻橋君以外嫌い・・

:議論しながら・・

w:僕はもっと話したい・・

             会場騒然とする
          

                   ・・オペラ座が映しだされる・


t:言わないでください・・

t:ジャンヌーベルというのはこれよりゼンゼン前に、アラブですごくハイテックなガラスを使ったデザインをして、世界的になったわけですけれど、これはリヨンのオペラ座なんですが、古い建物の中をくりぬいて、その中に樹脂に覆われた、FRPかな、あれはプラスチックみたいなんで覆われた、真っ黒いテカル羊羹みたいな劇場をポコッと入れ込んで、その回りをスチールの家具や赤外線ムービーみたいので、スゴク近未来的なシーンの連続で演出するような、劇場なんですけれども。それというのは表面を覆っているクラシックなファサードのなかに、スゴク新しくて都市的で未来的な、シーンが詰め込まれている。スゴク対立的な表現をしてるわけですね。そこでだったら・・・

s:よー解りますけど ・
   ・佐藤完全に酔っぱらいご託を並べてる・・槻橋氏泰然と・語り続ける・・

                  

t:そこまでだったら単純に形式として理解出来る。プランで見ればスゴク未来的なモノが真ん中にあって、回りをクラシックなものが囲んでる。と書いちゃえば終わりなんですけども、その徹底ぶりというか、それは・・

佐藤完全に酔っぱらい「これアリバイ工作」などと大声でじゃまする・・そして会場に向かい謝る・・・会場大笑い・・・

t:ジャンヌーベルの僕はすごいなーと・・

・・・佐藤完璧にわからない状態・おいおい、いつまで続くのだとテープを見ながら心配になる・・・それにしても槻橋氏は辛抱強いね・・・低頭します・・

s:俺はこの柱に気づく槻橋さんは、いい人だねーと思う・・

t:うぶだなーて感じだと思うんですけど・・これロッジャーみたいな形になってですね、列柱の入り口脇の廊下みたいになっている、都市のオープンスペースとして機能してるわけですけれど、・・

       ・・佐藤酔っぱらい・・酒瓶などを倒す・・・ガラガラと金属音が聞こえる・・

m:もったいないなー 酒をこぼしたのだろう・・

t:ヌーベルはここにはいった瞬間から建築の演出を始めていて、天井を黒く貼ってありますよね・・で

s:解説します・・

m:佐藤さん見にいったんですか・・

s:いかねーけれど・・と映し出された劇場側の黒く削り取られた列柱脚部をなでる・・

t:もっと上、全部上まで・・

m:天井ステンレスかね・・

       ・・佐藤ようやく立ち上がり画像の天井面をなで始める・・柱の彫刻を削るまねをしだす

t:鉄板みたいなモノが貼ってあったですよね。中はもっとガラスとかステンレスの鉄器みたいなのでハイテックなキラキラするもんなんですけど、

m:これとこれ仕上げ違うんですか・・柱を示す・佐藤宮島を叩くまね・・避ける・・

t:違うんです。そこが格好いいんです。

s:だからこんなことわかる人はあんまりいないから・・

t:で、これね・・回り明るくて、中に入ると暗いし、夜になると列柱丁度・・なんていうかな、奥行きの真ん中で赤い光がついてるんで、ほとんど黒い面というのは影だと思うんですよ。影になってるからわかんないと思うんです。ちょうど近くを必ず通らなければいけないわけで、ここの列柱のアーチを潜って中に入ったときに、横目にこの黒いところのレリーフが全部削り取られてることが判るんですよ。

m:は・・     ・会場から格好ええ・

t:はつってあるんですよ。ものすごくラステックな荒々しい仕上げ・・

       ・・突然佐藤こいつは将来大建築家と・・叫ぶ・・会場笑う・・どうしようもねー・・と
s:こんなとこ見てるやついないんだもの・・大建築家・・

t:そこにつや消しのペンキをただグシャグシャと塗ってあるだけ・・

         ・・こんなとこ見てる人いなんいんだから・・と佐藤は相変わらず壁などをなでてる

t:ガラスの壁の中からはものすごく精度の高い作り込んだモノなのだけれども、右側の柱の内側の面はホントに荒々しい、ホントに手作業でやったような仕上げになっている。なんだけれども、そこの一面のレリーフを剥ぎ取ることで、表の保存するファサードの面の表面性というか、厚み、石という存在感をこの一面だけでなくしちゃってるわけですよね。スゴク記号的存在として・・
            ・・佐藤・格好いいーと、かん高い声で叫び拍手をする・


 おしまいです